現地の民間企業とは?
今回は現地民間企業との提携、特に中小企業との提携について触れます。
政府、財閥といった大きな企業グループに属してない現地資本(いわゆるごく一般的な普通の民間企業)が対象です。
この手の現地中小企業は、創業者ファミリー、或いは創業者メンバー(古くからの創業者の知人、友人)が事業の所有と経営を兼ねていること多いです。
そう言った意味では、意思決定が早く、関連部署からちゃちゃが入りにくいという点で組み易い相手とも言えます。
現地企業の特徴
彼らは基本的に各分野で特徴のある製品、サービス、ビジネスモデルを築いて伸し上がった人達です。特定分野では優れた実績を上げてますが、財閥のように万能な力を持っている訳ではないです。
会社自体が大きくないこともあって、未だ家族経営だったり、社長が独断で全て決めているところも多いです。
もっともっと事業を伸ばしたいと考える意欲的な経営者が多いのも特徴で、日本企業を含めた外資との提携に一方的な幻想を持っている方も結構いたりします。
なので皆さんが上手にプレゼンをして、提供可能なバリューを説明出来れば、交渉の入口はそれほど高いハードルではないことが多いです。
現地企業をパートナーにする際の注意点
現地中小企業とのパートナーシップの場合、先方があまり場慣れしてない、リソース不足なこともあって(失礼🤭)、スタートこそ良いのですが、実際に協議を進めていく中で、後から様々な課題、ギャップが見えてくることが多いです。
それでは具体的に見ていきます。
1.資金力と羽振りの悪さ
先ずよくあるのが資金力の違いです。
両国間の購買力のせいもありますが、新規事業の必要投資額の話をする際、「ちょっと桁が一つ違ってますよ」と言いたくなることが多々あります。
日本人を派遣したところ、彼らが準備してくれたオフィス環境、生活環境が、あまりにも質素(本人はともかく家族が可哀想)ということもあります。
新規プロジェクトに対して現金投資をほとんど行わず、保有する現物資産を出し合って「将来はプロフィットシェアリングで!」と言われることも結構あります(特に華僑系の企業に多いです)。
現物出資自体が悪い訳ではないのですが、どうしても交渉が複雑になってきます。
皆さんの会社に提供し合う資産、ノウハウ、それらの価値をちゃんと説明し、英語で内容をまとめ上げられる人はいますか?
英文書類だからと言って内容を疎かにしてはいけません。
時々目にするのが、ある程度方向が固まったら、あとは「えいっやー」でサインする会社です。実はこういった部分をしっかり詰め切れてない日本企業が結構多かったりします。
2.基本緩いです…
コンプライアンス、ガバナンスに対する意識、理解度の違いもよくあるギャップです。
現地中小企業のなかには、必要な手続を踏まず、「何か問題が起きたらちゃんと対処するから大丈夫」とか「当局に友人がいるから大丈夫」とか言ってくるところもあります。
よくよく調べてみたら事業ライセンスが失効していた、外国人従業員のビザが切れていたということもあります。
この辺りの管理、メンテナンス、ガバナンスがどうしても緩くなるので、気を付けなくてはいけません。
最近、ESG(ご存知の通り、Eは環境、Sは持続性、Gはガバナンス)という言葉をよく耳にしますが、現地中小企業にはESGを、Eは環境、Sは持続性、Gはガバメント=政府(つまり政府のいうことをちゃんと聞いておく)と言ってる人もいるぐらいです😅
ガバナンスにも関連しますが、意思決定のスピード、プロセスが大きく異なることも多いです。
基本向こうはオーナー、もしくは数人のメンバーで何でも決められるので、意思決定がむっちゃ早いです。取締役会、リーガルレビューすら経ずに、サインを急ぐ経営者もいたりします。
日本企業が通常の社内意思決定プロセスの説明をすると、露骨にうんざりした表情を見せる経営者もいたりします。
でもここは皆さんの会社の方がしっかりしてる訳ですから、自信を持って会社のポリシー、ガバナンスの大切さを説明しましょう。
上記を考えると「そんなところと組んで大丈夫か?」と心配にもありますが、現地中小企業の経営資源は、これまでに触れた政府、財閥と比較して非常に小さいので、ある意味しょうがないとも言えます(程度の差はありますが、日本も同様だと思います)。
現地中小企業の強みとなっている分野はともかく、後はさっぱりということはザラにあります。
皆さんがプロジェクトをリードする、彼らの強みを上手く活用する、そしてフレキシブルに対応する(何が出てきても驚かない😂)というスタンスが必要になってきます。
反面、事業の主導権を握ることは比較的容易です。
またオーナーから直に強いコミットメントを得られるので、一旦話が進み始めたらスピード感あってやり甲斐ありますよ!