どこと組むか①「政府系機関との提携」

ベトナム、ハノイにある大統領府。元々フランスの総督官邸だったそうです。
ベトナム、ハノイにある大統領府。元々フランスの総督官邸だったそうです。ちなみに本文の内容とは関係ないです。

提携相手のタイプ

どのビジネスでも同じですが、現地企業と組んで事業を展開したいと考えている場合、どこと組むかという課題はとっても大事です。よく考えた方が良いです🤔

さてASEANで現地企業との事業提携を考えた場合、概ね以下のパターンのどれかになると思います。

  • 政府系機関との提携
  • 現地財閥系との提携
  • 現地民間企業との提携

政府系機関について

先ずは政府系機関との提携について話します。

ここでいう政府系機関とは、政府そのものだったり、政府傘下にある独立組織だったり、政府系資本が多く入っている企業も含めた前提です。

実はこのパターン、ひと昔前まで日本企業が最も好んでいたパターンです。

開発独裁の下で経済成長というのが、元々のアジアの基本的な成長パターンなので、やはりどこも政府の力は強大です。

エネルギー、資源、ライセンスが必要な業務なんかは、むしろ政府とのコネクションがなければ、なかなか前に進めないケースもあります。

そういうこともあってか、「政府系と組まなくて大丈夫ですか?」とか「(政治家ファミリーの関与を指して)こういうところと組まなくちゃダメですよね」とか言う人もまだ普通にいたりするのが実情です。

政府系機関の特徴

政府系機関はどこも大体そうですが、どうしても意思決定には時間が掛かります。

彼らの組織内は複数の縦横階層で構成されてることが多いです。

ですので、同じ組織の異なるグループに似たようなプレゼンを何度も何度も繰り返さなくてはならないケースもあります。

物事の優先順位も民間企業とは大きく異なります。

意識決定のプロセス遵守はもちろんですが、パブリック向けのメディアリリースも政府系機関にとっては重要なイベントだったりします。

相手の立場も考え、しっかり対応するようにしましょう。

政府系機関との交渉は決して簡単ではないかもしれませんが、話がまとまれば、先にも言ったように非常にパワフルなパートナーになることは間違いないです。

じっくり腰を据えて取り組む覚悟、忍耐があれば、検討に十分値します。

一例ですが、以前アジアの一次産品を日本に輸出したいという話がありました。

今はSDGsとかESGという課題もあって、加工工程を経ない一次産品絡みの事業はライセンスが取りにくいのですが、政府系企業と組むことで状況は一変しました。

先に提携先となった政府系企業のサポートで担当省の大臣を紹介してもらえたのです!

担当大臣に一通りプロジェクトを見てもらい、後日改めてライセンス申請すると、なんとその日のうちにライセンスが降りました。親方強しです!

政府系機関と組む際の留意点

最近では、色んなところで民主化が進み、市民の民度が盛り上がってきてます。それ自体は良いことなのですが、気を付けて置かないと選挙で政権交代が起こることもあります。

以前では考えられなかったのですが、1990年代後半に起きたアジア通貨危機以降、ASEANでも多くの国で政権トップ、与党が変わってます。

ここは一つの不確実要因です。

これまで信頼して付き合っていた人が急にいなくなり、全く知らない人が新担当として表舞台に現れたりします。

ちゃんと引き継ぎをしてくれていればまだしもですが、必ずしもそうとは限りません。

日本の会社でもそうですが、新任者がこれまで推進していたプロジェクトを改めてニュートラルな視点から見直したいということもあります。

またASEANでは組織内のリーダーの権限が官民共に強いです。既に意思決定されたプロジェクトであっても、新担当者が「自分は良く認識してないので要見直し」と言うことも普通に起きます😔

僕が関与したプロジェクトでも、政権交代で実質前政権から派遣されていたトップが代わり、機関決定されていた案件が流れたことがあります。

別のプロジェクトでは、政権交代により、担当省の高官から詳細が固まっていたプロジェクトに対し「一応サインする前に新しい大臣に確認しておきたい」とのコメントがあり、結局1年以上待たされたこともあります…普通それだけ待たされたら用意した運転資金がつきますよ😭

こうなるとなかなか前に進めません。

そのうち本社から「担当者が変わったのは分かるけど、単に現地の握りが弱かっただけじゃないの」と冷視線を浴びることになります。

そうなるともう早く転勤でもして、その場を逃げ出したくもなりますよね。

政府系機関との組み方

提携の基本は、互いが強みを上手に出し合うことです。

政府系企業の強みは、なんと言っても彼らのネットワーク、口利き力です。

ライセンス取得が必要な業種の場合、彼らの後ろ盾は頼もしい限りです。

一方、そこには役人気質もあります。

外資規制の関係で先方がプロジェクトの過半数を持ったり、対等の株主権利を持ったとしても、同等パートナー並の貢献は求めない方が良いです。一緒に協議しようとか、一緒に作業を進めようとする考えは正直甘いです。

ここでは、皆さんがプロジェクトの構成、内容詳細を詰めた後、政府系パートナーに説明、同意を得ながら物事を進めていくオペレーションが求められます。

極点な言い方をすれば、「面倒な仕事は全て自分のところで引き受ける」ぐらいのマインドセットが必要です。

そしてパートナーの政府系機関には、ライセンス周り、当局や業界団体とのコミュニケーションをお願いする形が良いと思います。

僕のところでも時々聞くのが、「折半で折角立ち上げたのに向こうは何もしてくれない」というコメントです。そりゃそうです。相手は民間企業はないですよ。

それから最後にですが、向こうは政府関係者です。くれぐれも過度な接待💰💰💰には注意して下さい。国際的にも公務員、準公務員の接待規制は厳しくなってますよ😁

次は現地財閥との提携についてです。

ベトナム、ハノイにある大統領府。元々フランスの総督官邸だったそうです。
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