イスラム教徒の断食(ラマダン)について

Brunei Old Mosque
ブルネイの中心地にある通称オールドモスク。総工費600億円とも言われてます。

ASEANには、マレーシア、インドネシア、ブルネイといったイスラム国家もあります。

イスラム国家でなくても、ASEANには多くのイスラム教徒が暮らしています。

彼らは、毎年約1ヶ月続く断食(ラマダン)を行います。

今年のラマダンは5月上旬に終わっており、5発中旬の今は正に断食明けのお祭りシーズンなのです!

今回はその断食(ラマダン)について書こうと思います。

断食(ラマダン)とは

イスラム教では、毎年イスラム暦の9月に当たる時期に、ラマダンと呼ばれる断食が約1ヶ月に渡り行われます。

断食のことをラマダン、断食後の大祭のことをレバランと言います。ただし、インドネシアや一部の地域ではラマダン期間も引っくるめてレバランと言ってる方もいるようです。

イスラム暦は太陰暦(月の満ち欠け)を採用しているので、毎年のラマダンとなる時期は、我々が普段使っている太陽暦のカレンダーでは変わってきます。

国にもよるのですが、政治、宗教界で高い権威のある方が、実際の月の満ち欠けを確認し、ラマダンの開始日、そして終了日を宣言します。

イスラム教徒は、普段から一日5回のお祈りを行っているのですが、ラマダンは特に神聖な期間で、いつも以上に熱心に祈り、無視無欲な行動に努めたり、過去の赦しを請う期間ともされています。

ラマダンはイスラム教の重要な信仰行為の一つとされてます。ただし、病気の人、妊娠中の女性、高齢者、旅行者、生理中の女性は、ラマダン期間中の断食は免除されますが、その後年内の何処かで埋め合わせをすることになっています。

ラマダン期間中、イスラム教徒は夜明けから日没まで水を含めたいっさいの飲食を行いません。

ラマダン期間中の生活について

断食の時間帯は、日本時間で午前7:00前ぐらいから午後8時半前ぐらい(シンガポール時間で午前6:00前頃から午後7時半前頃)です。

そのため、イスラム教徒はいつも以上に早く起き、朝のお祈りの時間までに朝食を済まておく必要があります。そうしないと大切な夜明け前の食事を食べ損ねてしまいます。

そして日中は水を含めた一切の飲食をしません。

厳正な方は、唾を飲み込むことすらしないそうです。

長い1日が終わり日が暮れると、日没のお祈りを済ませた後、その日2回目となる食事をとります。

側から見ていると、蒸し暑い熱帯の東南アジアで、日中水を含めて一切何も口にしないというのは大変な気がします。

特に暑い日中、外で作業をしている建設作業員、警備員の方は見ていて本当に凄いと思います。

でも大変な分だけ皆の連携も深まるのか、日没後の夕食は本当に盛り上がってます。

ラマダン期間中は、多くのホテル、レストランはラマダンパッケージと言われる食べ放題ビュッフェを開催しており、どこも大勢の人達で賑わってます。

同席したこともありますが、日没の少し早めにみんながテーブルにつきます。

日没時間が来ると、コーランの一部が読み上げられ、いよいよ食事の開始です。

正直むちゃ盛り上がります。みんな食べまくりです。

見ていてほのぼのするくらい大の大人が、楽しそうに美味しそうにご飯を食べてます。

ラマダン期間中は、日中一切のものを口にしないので、さぞかしダイエットに効果があるのではと思ったりもしますが、意外にもこういった夜間の過食で、むしろラマダン中に体重が増えるという話もよく聞きます😑

会社、街、そして人の微妙な変化

イスラム教徒の多い国では、雇用主側もマジョリティのイスラム教徒の従業員に配慮して、ラマダン時間中は出勤時間を早めたり、勤務時間を短くしたりするところもあります。

一方、ビジネスの話をしていても、ラマダンになったからという理由で協議が一時中断したり、ミーティング依頼を受け付けてくれないケースもあったりします。

街の様子も少し変わります。

やはりイスラム教徒の多い国では、普段行っていた定食屋、フードコートがランチ時間の営業を止めてたりします。

空腹なため運転が荒くなったり、乱暴な言葉を吐いたりする人が増えるという声も聞いたことあります。

やり過ぎは流石に如何かなと思いますが、我々にも一定の配慮、協力出来るところはあるとと思います。

ラマダン期間中に、我々が出来ること

ラマダン期間中、ビジネスマンとして協力出来ることは何でしょうか。

私の場合、こちらから午後のミーティングを依頼しない、夕食にも誘わないようにしています。

やはり空腹な状態でミーティングに出席することを苦痛に感じる方はいます(日本でも食事を抜いたら血糖値が下がって集中力が落ちるという人とかいますしね)。

また幾ら日没後だからと言っても、なかには空腹感マックスの方もいれば、その日同じ苦行を共にした仲間、家族との食事を楽しみにしている方もいます。

日没後のディナーとは言え、ラマダン期間中はこちらから会食に誘うのは避けた方が無難です。

日中のミーティングで、「我々は何も口にしませんが、よければお飲み物でも」と言ってくれる親切な方もいますが、基本的には丁重にお断りするようにしています。

日本にいるとラマダンがニュースに取り上げれることも少なく、出張で行ってみて「えっ、今断食期間中なの?どうりで出張前の先方の反応が・・・」なんて方もたまにいます。

現地の祝日と合わせて、この辺りもちゃんと事前に確認しておきましょう。

ラマダン後のイベントは要チェック

そして約1ヶ月続くラマダンの最終日が終わると、大変だった分、盛大なお祭りムードになります。

多くのイスラム教の方は帰省し、家族、親族との時間を過ごします。

親戚、近所の人、普段お世話になっている人を招いてみんなに食事を提供するオープンハウスというイベントも各地で開催されます。

最近では緑色の小袋に入れられたお年玉のようなものも配られたりします。

個人的には、このオープンハウスというイベントが非常に寛大で楽しいイベントだと思ってます。

イスラム教か否かを問わず、普段お世話になっている人が幅広く食事に招待されます。

食事も伝統的なものが多く、それはそれで良い経験にもなります。が、実はこのオープンハウス、ビジネス的にも多くの方と気軽に話せる機会なのです。

都市部では、ある種社交的な意味合いもあって、お付き合いで少し顔を出しておくという事業オーナーもたくさんいます。

お祭りイベント的なこともあって、皆さんとってもフランクに会話に応じてくれるはずです。

もし出席出来る機会があれば、恥ずかしがらずにどんどん参加しましょう。

政府組織単位、会社単位、個人単位、あちこちで様々なオープンハウスが開催されます。

招待状を持っているなら、通常、家族、友達を連れて行っても大丈夫です(逆に誰かに連れて行ってもらっても大丈夫です!)。

ここ数年はコロナの影響で帰省が出来なかったり、大勢の集まりが許されなかったり、どこも大変でしたが、今年は多くの国で移動規制も解除、緩和されてます。航空券は高額化、どこの道路も大渋滞です。

オープンハウスも相当盛り上がってると思いますよ。

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