旧正月の過ごし方

旧正月には、街の至る所でランタンが見られます。

旧正月とは?

皆さんこんにちは。こちらは、つい先日に旧正月が開けたばかりです。

そこで今回は旧正月についてです。

ご存知の方も多いと思いますが、旧正月とは太陰暦をベースにしたお正月のことです。

地球の公転を基準にしたカレンダーが太陽歴、月の公転を基準にしたカレンダーが太陰暦です。日本のカレンダーは太陽暦ですよね。

地球は太陽の周りをほぼ1年かけて回るので、毎年のお正月は1月1日ですが、月の周期は異なります。毎年の旧正月は、太陽暦のカレンダーで大体1月から2月にかけて訪れます。

太陰暦を使っている(いた?)中国、中華系の方が多く住むASEANでは、旧正月をお祝いする人も多く、ASEANの大半の国では旧正月が祝日になってます。

祝日といっても、国民全員が旧正月を祝っている訳ではありません。ASEANは多民族の集まりです。実際に旧正月を祝うのは中華系の方になります。

中華系でない人にとって、旧正月は普通の祝日の一つです。

旧正月の過ごし方

旧正月を祝う中華系の方ですが、彼らはお正月をどのように過ごしているのでしょうか。

ASEANの場合、16世紀から19世紀にかけて中国南部(福建、潮州、広東、客華、海島等)から移住してきた一族が多いです。ご先祖様の出身地域、州によって、各家庭でのお祝い、お正月料理も異なります。

一方で共通して言えるのは、太陰暦の年末が近づいてくると、皆んなソワソワし始め、大掃除、年始の飾りつけ、帰省の準備が始まります(日本と似てますよね)。

そして大晦日が近ずくと、おじいちゃん、おばあちゃんの家への大移動が始まります。家庭によっては大晦日の日中からご先祖様へお祈りをするところもあります。

大晦日の夕方には親族が続々と集まり、Reunin Dinnerと言われる親族の集まり兼食事会が盛大に始まります。Reunion Dinnerへの参加、後で触れる旧正月のアンパオを本当に楽しみしてる人が多いです。

食事の内容は家庭によって様々です。出身地伝統の食事が出たり、スチームボード(日本でいう水炊き鍋ですね)、餃子が振る舞われるところもあります。

僕が参加したところはスチームボードが多かったですが、大晦日だけに、定番のフィッシュボール、湯葉、豆腐に加えて、鮑、海老がどっさり入ってたりします。

いよいよ年明けのタイミングが近づくと、至る所で花火や爆竹が鳴り始まります(プライベートでの花火が禁止されているシンガポールでは無理ですが)。

そしてカウントダウン、その頃にはそこいらに酔っ払い発生という状況です。

年が明けて陰暦の初日になると、改めて親族巡りが始まります。家庭によっては、ご先祖様へのお祈りもあります。

正月初一ということもあって、皆さん年末に準備した新しい服でのお出かけです。お正月は華僑の人達に縁起の良い赤色を着ている人が多いです。

中華系の方の親族付き合いは基本広く深いので(遠い祖国から皆でリスクを冒してまで入植してきたからかもしれません)、この親戚周りだけでほぼ1日が終わってしまいます。

親戚周りしながら、年配の人達はお茶、お酒を飲みながらおしゃべりで盛り上がり、子供たちはゲーム、トランプをしてたりと、この辺りは一昔前の日本のお正月風景を見ているようで、かなりホッコリします。

面白いのは、華僑の方の場合、親族が普通に国内外の各地に散らばって働いている人が多いせいか、久しぶりに集まった親族で世界各地で流行っているビジネス、株や不動産の投資話で盛り上がってたりしてることです。

またよく見ると子供のトランプの後ろで、遊びでプレイヤーに賭けてる大人もいたりして、「商魂たくましいな」と感心することもあります。

現地のお年玉(アンパオ)

こちらにもお正月にはお年玉を配る習慣があります。

お年玉は「アンパオ(紅袋)」と呼ばれるお年玉袋に入れて配られます。

アンパオは文字通りの赤色。日本と違うところは、アンパオは子供だけでなく独身者にも配られてます(オフィスでは、普段の感謝も込めて上司から部下全員に配られたりします)。

アンパオを配る範囲は広く、日本みたいに近しい親族だけではありません。近所の子供、近所のお店の店員さん、タイミングが合えば路上の清掃業者の人達にも配られてたりしてます。

一方アンパオの中身ですが、金額は数百円から数千円ぐらい。日本のお年玉と比べると金額は大きくありません(だから幅広く配れるのだと思います)。

独身者もアンパオをもらえると言いましたが、自分より年配の結構いい年した大人が、「俺まだ独身だから。俺にもアンパオ、アンパオ」と普通に言ってきます。

この辺り愛嬌があると言うか、たくましいと言うか…

とにかくアンパオをもらう権利のある人が、「アンパオちょうだい」と言うことは、幾つになってもそれほど恥ずかしいことではないようです。

最近ではこのお年玉もかなり近代化が進んでます。さすがのシンガポールでは、電子ウォレットでお年玉を振り込むサービスもあります。正直「それ技術化しすぎでしょ。伝統的価値は何処へ?」みたいな気がしないでもないです。

侮ってはいけないアンパオ

こちらのアンパオは多くの人に配るので、その準備、オペレーションは結構大変みたいです。

日本だと元日当日に準備しておいたポチ袋にささっとお金を入れて、数人の子供と近しい親戚に渡したらおしまいかと思いますが、ASEANだとそうはいきません。下手をすればアンパオの数も100を超えてくるので、年末からの準備が必要です。

年明けのおめでたいお金ということもあって、先ずは銀行に行って新札を準備するところから始まります。新札でないと駄目ということはないのですが、新札がベターです。

次にそれをアンパオ袋に入れるのですが、付き合いの近さ、深さをベースに、渡す相手によって金額を分けます。

アンパオも全部で100袋を超えるぐらいあるので、いちいち中身を覚えたり、袋に名前を書いておく訳にもいきません。

アンパオ袋の模様に応じて、小さい袋が200円、干支のデザインが付いているのが600円、金の装飾付が800円、豪華で大きな袋が2,000円というふうにまとめていきます。

中に入れるお金は偶数が好まれます(特に縁起の良い8!)。逆に4は避けられます。

でも一般家庭でそんなことゴソゴソやっても、実際そんなスムーズにオペレーションは回らないです。

お正月当日、親族に家に着いた途端、多くの子供、独身貴族に取り囲まれ、一斉に新年の挨拶「 Gong Xi Fa Cai(恭喜發財)。Xin Nian Kuai Le(新年快乐)」 となります。

頭の中では、普段お世話になってるおじさんのところのあの子には1,000円の金装飾袋、普段ほとんど顔を合わせないあの子には干支の500円袋、紛れ込んでる近所の子供には200円の袋とか決めていても、最後には本当にちゃんと配られたか、もう訳分かりません。

子供たちもちゃっかりしていて、アンパオをもらった瞬間、中身を確認し、誰から幾らもらったかペンで記録してたりしてます。そしてそれを親がチェックしてます😅

そうなると去年よりもらった金額が少なかった、中には袋だけでお金が入ってなかったというアクシデントも発生したりします。

そばで見ていると「そんなこともあるだろう」なのですが、「アンパオを侮ることなかれ」です。実はこれが結構その年の人間関係に尾を引いたりします。

後々になって別の親戚経由で「今年はなんであそこの子供のアンパオを減らしたのか」とか「あそこのアンパオが減ったのは、事業が上手くいってないのかもしれない」といった苦情、憶測が飛び交います。

元々あまり付き合いが深くないところだと、アンパンのやりとりが実質形骸化していて、同額の交換が暗黙の了解だったりします。そうなると袋を渡し間違えたりした日には(もちろん小さい金額の袋に)、ちょっとしたイヤミの応酬が始まります。

そばで聞いていると「何も数百円でそこまで…」という気もするのですが、当の本人たちは真剣です。

アンパオが原因で関係が険悪化することもあれば、逆に関係を改善させることも出来ます。

新年から羽振りよく振る舞えば、「あそこの新しく来た婿は出来る奴だ」とか、「嫁は大したもの」みたいに親族内での評価も上がります。

ファミリーの関係の広さと深さ、そして現実的な評価分析。アンパオから華僑の力強さを感じるのは、僕だけでしょうか😁

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