会社設立前に知っておきたいこと

海を眺めながらの仕事。最初はこんな環境でじっくりビジネスアイデアを練るのも良いかも。
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会社の設立手続について

以前の「事業を始める前のハコ選び」は、駐在員事務所の記載が中心過ぎるとの指摘もあったので、今回は会社(法人)を設立する時の必要資料、プロセスについて話します。

現地で展開する事業が明確に決まってたり、直ぐに売上計上が見込めてたり、駐在事務所設立をサポートする親会社がない場合は、思い切って法人設立を検討しましょう。

国によって手続、必要書類、申請プロセスはもちろん異なりますが、基本的な共通点をお話しします。

先ずは事前確認事項の整理

先ず最初に、事業ライセンスの要否、外資出資制限の有無を調べて下さい。

展開を考えている事業が、現地で事業ライセンスを要するカテゴリーに入ってないか、外資(外国資本のことです。現地では日本人も外資です)でも展開出来るか、外資に対する出資制限はないかしっかり調べておきましょう。

ここを整理出来てないと、いくら書類を準備しても設立認可は進みません。

併せて、設立申請書類の提出窓口も確認しておきましょう。

設立申請フォーム、必要書類の準備、必要事項の決定

申請窓口では、法人設立時に必要となる申請フォーム、必要書類が分かります。国、業種によって異なりますので、注意して内容を確認しましょう。

申請方法ですが、シンガポール、マレーシア、タイでは、一般法人(事業ライセンスが不要、外資制限もない業種)の場合はオンライン申請も可能です。

会社秘書役の設置が義務付けられている国では、通常秘書役が申請手続を行います。

各国の申請フォームに加えて、ほぼ各国共通で検討と準備が必要になる事項、それから留意点は以下の通りです。

流れ的には基本事項(会社名、資本金、株主、役員、住所、事業目的等)を記載した申請フォームを提出後、会社の設立が認められてから各事項が正式に確定されますが、事務手続的にはほぼ同時に準備が進むと考えておいて下さい。

・商号の決定

商号とは会社名のことです。

当然ではありますが、既にその国で登記済の名前は使えません。

国によってはNegative Wordsが決められていて、社名として使えない言葉、使用には別途監督当局の許可が必要なケースもあります。

例えば、公序良俗に反する言葉、あまりに一般過ぎる言葉(Food、Earth…)、別途業法の規定、ライセンスが必要になるサービスを類推させる言葉(Bank、Finance、Insurance…)等です。

日本には皆さんもご存知のソフトバンクという会社がありますが、現地では銀行ライセンスを持ってない会社が「Bank」を名乗ることは出来ないことが多いです。

・設立発起人(株主)の決定

法人のオーナー、出資者のことです。

どなたがオーナーになる予定ですか?

法人が株主になる場合は、その会社の登記簿謄本、過年度監査報告書の英訳それらの認証が必要となることが多いです。また法人の場合、最終受益者(Ultimate Beneficiary。株主となる法人の実質的オーナー)の詳細も求められます。

個人の場合は、住所証明、パスポート、それらの英訳と認証が必要となります。

国によっては、最低株主数が定めらているケースもありますので注意して下さい。

・取締役の任命

上記株主で必要になる資料に加えて、履歴書、大学卒業証明書、業種によっては無犯罪証明書等が求められたりします。

国によっては、最低取締役数、居住者要件が定めらているケースもあります(最低でも1人の取締役はその国に居住していること等)。居住者取締役は就労ビザが必要になります。

居住者要件がある国で、もし非居住者の取締役しかいない場合(日本から準備している場合も含めて)、その国に住んでる誰かに代理で取締役になってもらい、形式的に居住者要件を満たすことも可能だったりします。その国の弁護士、会社秘書役等、信頼出来る人にお願いすることが多いです。

取締役1人でも法人を設立出来る国はありますが、その後の実務も考えると取締役は2人以上いた方が良いと思います。署名者がたった1人しかいない場合、銀行の口座開設等で手続が難しくなるケースがあります。

元々取締役1人で会社を設立出来るところは少なかったですが、最近の会社法改正で可能になってきてます。一方、銀行を始めとした民間がそこに未だ対応出来ておらず、なにそれ?という状況になってます…

取締役候補者は、各国所定の宣誓書に署名を行う必要もあります。本人が各国の会社法で定められた取締役就任の要件(成人している、禁治産者でない、自己破産状態にない等)を満たしていることを宣誓します。

・監査役(人)の任命

国によっては監査役の設置が義務付けられてます。

監査役は、株主に代わって会社がちゃんと運営されているか、取締役に法律義務違反はないか、ガバナンスが機能しているか等をチェックする機関(人)です。

必要な準備書類は、株主、取締役の場合とほぼ同様です。

・秘書役の任命

国によっては秘書役(Corporate Secretary)の選任が義務付けられてます。

秘書役はライセンスを有した業者で、会社運営上必要な事務手続を行ってくれます。

秘書役がいるおかげで、管理部門がない中小企業でも、会社法上必要となる株主総会、取締役会、当局への年次報告が漏れなく行われてます。

費用も掛かるし一見面倒な制度ですが、慣れてくるとむしろ助かります。分からないことは何でも聞けるし、日本の中小企業、ベンチャー企業で散見される法務局への報告必要事項の届出漏れも防げます。

・資本金払込の準備

国によっては、設立時資本金の最低金額が定められてます。

所有形態(外資が株の過半数を保有している等)、業種によっても、最低資本金額が違ったりします。

・定款(基本定款、付属定款)

会社を運営する上での基本的なルール定めた書類のことです。国で言うところの憲法みたいな書類です。

国によっては、定款の設置義務がないところもあります。

定款設置義務があっても、大体どこの企業も内容は似たり寄ったりです。複数でJVを設立する場合等を除けば、基本フォーマットの借用で事足りるケースがほとんどです。

法人設立サービスを提供しているコンサル会社、秘書役からフォーマットを見せてもらいましょう。

・設立総会、第1回取締役会の開催

上記で述べた事項を、会社として公式に決定するための手続です。

フォーマットは決まってますので、法人設立サービスを提供しているコンサル会社、秘書役に書類を準備してもらいましょう。

通常書類上の手続で済ませてます。

・その他諸々

国によってまちまちですが、資本金の払込を証明する必要があったり、事業計画書の提出を求められたり、会社住所を確定したり、決算月を決めたり、コモンシール(日本の実印みたいなものです)を決めたり、雇用契約書を準備したり、納税番号を取得しなくてはいけなかったりします。

公式書類に使われる言語もまちまちです。英語で設立申請が出来ない場合、実務では現地語と英語の二つの資料を準備しておくことが多いです。

分からないところは専門家へのアウトソースが確実で早い

ざっと眺めると結構大変な印象を持たれるかもしれませんが、特殊なケースを除き、申請書類、付属書類はほぼ定形化されてます。

分からないことをいつまでも調べたり、書類申請窓口に何度も足を運んで時間を使ってもしょうがないケースもあります。

経験豊富なコンサルタント、秘書役にお願いした方が、思いのほかポンポンと進み、コストパフォーマンスも良かったりします。

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