ASEAN各国の現在地

タイの市場。生鮮食品を扱う市場はWet Marketと呼ばれてます。朝早めに来て新鮮な食材を買った後、周辺の屋台で朝ごはん食べて帰るのが定番です。
タイの市場。生鮮食品を扱う市場はWet Marketと呼ばれてます。朝早めに来て新鮮な食材を買った後、周辺の屋台で朝ごはん食べて帰るのが定番です。

一人当たりGDPで見比べると

加盟国の現在地を一人当たりGDPで縦に並べて見ると、加盟10カ国の中でシンガポールが突出してます。数字上では日本のUSD40,000超をも上回っていて先進国水準です。

一方、他の加盟国はまちまちです。シンガポールから半分くらい離されたところにブルネイ、そこから更に大きく離れてマレーシア、以下7カ国が続いてます。トップのシンガポールとミャンマーとでは実に43倍近い開きがあります。

この現実もASEANの特徴です。ASEANと一括りに言っても、域内各国の経済格差は半端ないです。この地域で消費者ビジネスを考える場合、この認識は持っておいた方が良いです。

ASEAN各国の1人当たりGDPの比較
引用:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000127169.pdf

各国における生活感格差も、個人的な感覚では一人当たりGDP格差と似てます。

突出しているシンガポールから遥か離れたところにマレーシア(感覚的にはシンガポールを100とすればやはり30から40ぐらいの場所)、マレーシアから少し離れたところにタイ(シンガポールを100とすれば25ぐらいの場所)、そのタイから更に半分くらい離れたところにインドネシア、フィリピン(シンガポールを100とすれば15ぐらい)という感覚です。

シンガポールドル(SDG)は、1967年に元々マレーシアリンギット(MYR)との等価交換(1:1)で発行されましたが、等価交換に関わる合意が破棄されて以降、現在に至ってはSDGの価格がMYRの3倍以上になっており、個人的にはシンガポールとマレーシア間の感覚差には納得感があります。

域内でのシンガポールの突出度合いは、一人当たりGDPだけではありません。

所得の高さ、お金持ちの多さ、物価の高さに加えて、その中身(衛生面、公共サービス、住宅、社会インフラ、ビジネスリテラシー)も含めての話です。

高物価のイメージが強いシンガポールですが、生活の足回り(上下水道、電気の安定的な供給)、住宅、交通、通信、社会インフラの質も群を抜いてます。企業設立、事業を進めるためのプロセス、法制度も明瞭で高い透明性を誇ります(その分新規参入も多く競争も高いですが…)。汚職や犯罪発生率も低いです。

お金以外の部分も重要だったりします

所得水準系のデータでビジネス機会を測ることは重要ですが、背後にある生活基盤、生活スタイル、そしてビジネスリテラシーにも配慮しておきましょう。

一人当たりGDPで見た順番とほぼ逆の順番で、我々の想像を超えるようなことがちょくちょく起こります。

お金を使って準備された調査レポートは事前知識として役立ちますが、実際に話を進めてみないとどこまで現場で有効かは分かりません。

ビジネスライセンスの申請において、当初聞いてたことと違うことを言われた、窓口でいきなり追加書類を求められた、窓口担当者が変わった途端無下に扱われたということも普通にあります。

ビジネスの場では、パートナーの担当者が変わった途端に話が流れた、突然資金がないと言い始めた、あんなに仲良かったのに競合と話をしてた等、想定外なことは山のように出てくると思って下さい😁

皆さんが住われる住宅も、高級物件に住めるならともかくですが、中から下のクラスのマンション(こちらではコンドミニアムと言われてます)はメンテナンスが悪く劣化の進み方も半端ないです。下手すれば、共有エリアはほったらかしで、管理会社は倒産、エレベーターも半分ぐらい故障したままになってたりします。場所、フロアによっては、ゴキブリ、ネズミも出てきます。

自宅で水漏れ、漏電が起きて業者を呼んでも直ぐにやって来るとは限りません。ようやく見に来てくれても、専用道具持ってくるの忘れたとか手元に部品が無いとか言って戻ったきり帰って来ないこともあったりです…

スーパーで買った生鮮品が腐っていたり、雨上がり後に大量の虫と格闘したり、タクシーの運転手と揉めたり、突然家の水が止まったり、約束すっぽかされたりと話題には事欠きません。

これらはまた追々お話するとして、今回言いたかったのは、一人当たりGDPを基礎とした所得水準だけでは測れないこと、経済成長レベルに応じて想定外のことがそれなりに起こり得るということです。

このような市場で頑張るには、ビジネス以前にそこそこの精神的タフネス、事前に物事を決めすぎない柔軟性、開き直れる能天気さも必要です。

誤解はして欲しくないのですが、環境が緩いので適当に物事を流して良いと言ってる訳ではないです。ここではマインドセットの問題として取り上げてます。

企業から駐在で派遣する場合も、経営陣、人事部が候補者(出来ればその家族まで)のタフネスを見誤ると、お互いに不幸な結果になりかねません。意気揚々とこっちに来たのに、精神を病んでは元も子もないですからね。

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