プロジェクトを展開する時の注意点
こんにちは。今回は日本企業とアジア企業の考え方の違いについてです。
英語が通じれば何とかなると思ってる人もいるかと思いますが、実はそれだけでは物事が進まないこともあります。
相手の考え方や見方を知っておかないと、変なところで話が止まったり、信頼を損なってしまうことだってあるのです。特に海外ではこの手の誤解が多いです。
実はここ結構大切なとこなので、これからも色々な事例を使って書こうと思ってます
最初はシステム開発案件で起こった話です。
以前、日本企業とASEAN企業との共同システム開発案件をサポートしました。
両社各々の開発領域、要件確認が終わったタイミングで、ASEAN企業の責任者から「ところで日本サイドでは、システムの最終テストをするまでにどれぐらいの開発期間が必要なのですか?」という質問がありました。
日本側は関係者がしばらく話し合った後、「頑張って進めれば、大体10ヶ月でローンチ出来ると思います」という回答がありました。
ところが、それを聞いた現地企業は「えっ!そんなに時間が掛かるの?」という驚きと、顔色には不満が込み上げてきている様子が誰からも伺えます。日本企業側も「そんなこと言われても・・・」という空気になってしまいました。
ミーティングの途中で、ASEAN企業から僕一人だけ別室に呼ばれて「どういうこと?日本企業は何をしても遅いと聞いてたけど。うちだったら3ヶ月でローンチだよ」と不満が爆発です。
僕は「ちょっと確認してみます」と言って、日本企業に話を聞きに行ったところ、そこには日本企業なりの少し異なる考え方があったのです。
日本企業の開発スケジュールには様々な開発作業が日数ベースできちんと計算されており、各工程の合間には稼働テスト、更に予備日といったものまでしっかり考慮されてました。
つまり「保守的に見積もっても、これぐらいの日数を見ておけば大丈夫。パートナーに遅延で迷惑を掛けることはありません」という最悪シナリオを前提にしたコンサバな考えが根底にあったのです。
その話を聞いた後、今度はASEAN企業の開発チームにも話を聞いてみました(3ヶ月と10ヶ月という開発期間の大きなギャップの出所にも興味があったので😏)。
すると、ASEAN企業の開発チームの前提は、日本の開発チームの前提とは考え方が全く異なっていたのです。
そもそもの前提条件が違い過ぎてます(内容薄いです…)。プログラマーの割り振りも未だされておらず、もしもの場合の予備日といったものも全くありません。
つまり「つまり何も想定外のことがなければこれぐらいの日数で出来る」という最善シナリオでのベストエフォットがベースなのです。
決してどちらが間違っているという訳ではないです。
両者の考え方、出発点が違うだけなのです。
私からお互いの考え方の違い、前提の出発点を説明して、両者の疑問、不安は解消され、無事にプロジェクトは開始されたのですが、海外で事業展開を行う場合、現実的にこういったことも起こります。
むしろこういった点をしっかり解消しておかないと、小さな積み重ねが最終的に両者の不信感に繋がったりしていることが実は多かったりします。
時々、日本企業のプロジェクトをサポートしている時に気になるのが、日本の皆さんの生真面目すぎるところです。
正直で大見えを切らないのは美徳でもありですが、相手によっては必ずしもそれが美徳として伝わってないこともあります。
海外で交渉を行う相手は違う国、文化で育った人達です。
英語が話せれば、自分の言っていることは相手に分かってもらえていると考えは短絡すぎます。ましてや自分の考えが正論という思い込みには特に注意が必要です。
ちなみにですが、この話、結局どうなったと思いますか?
コンサバな日本企業の見積もりが合ってたのでしょうか。それとも現地企業の見積もりが合ってたのでしょうか。
🤔
このケースに関しては、コンサバな日本企業のスケジュールにほぼ合致してデリバリーとなりました!
システムの仕様を監督庁に確認するという関係者ではコントロール出来なかった要因もあり、思いの外にスケジュールがずれ込んでしまったのです。
でも更に驚いたことは、日本チームの開発予定表では、その点(自分達でコントロール出来ないプロセスの発生リスク)も踏まえ、当局の審査期間がしっかりと長めに取ってあったのです。
流石ですね👏👏👏